令和アイクリニック

お問い合わせ

当院の目の病気と診療

白内障

令和アイクリニックでは白内障手術は行っておりませんので、手術が必要な患者様に対しては、患者様の希望に合う手術可能な医療機関をご紹介しております。

1.白内障とは

人の眼球には2枚のレンズがあります、角膜と水晶体です。水晶体が濁ってくる病気を白内障といいます。白内障は新生児から老人までどの年代にも起こりますが、老人になるとほぼ100パーセントの人に起こります。

2.白内障の治療

白内障は様々な原因で起こります。避けることが難しい要因も多いのですが、それでも予防するためには、紫外線や酸化ストレスなどを避けることなどがよいと考えられています。一方、以前から使用されている白内障予防のための点眼薬は水晶体蛋白の変性を防ぐ化学的特性を持ってはいるものの、その効果には限界があります。そのため、白内障の有効な治療方法は手術ということになります。手術を希望されない方は次の項(3.経過観察の意味)をお読みください。

白内障の手術は濁った水晶体を超音波で破砕して吸引し、代わりに人工水晶体 (intraocular lens; IOL)を挿入します。術後の視力は挿入するIOLの度数を調節することによってもともとある近視や遠視を軽減させることが可能です。最近では、遠近両用(多焦点)レンズもありますが、種類や施設によって対応状況が異なります。 詳しくは、手術を受ける病院でご相談ください。

まだ手術をするほど困っていない、または、なるべく手術をしたくない、という場合はどうすればよいのでしょうか?白内障はきわめてゆっくり進行するものが多いので、本人も気づかないこともあります。自分が不自由を感じない程度であれば、急いで手術をする必要はありません。白内障自体は、初期に手術を行っても、進行してから手術を行っても、濁りをとって人工水晶体と入れ替えることで視力を回復することができる疾患です。

3.経過観察の意味

しかしながら、注意しなければならないことがあります。それは、白内障で見えにくいと思っていたら、不可逆性の網膜や視神経の疾患を発症していたり、それが進行していたりすることがときにあることです。(緑内障、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症など)これらの疾患がある方は、視力や視野の障害が進行した際に、その原因を正確に把握することが難しいので、あまり進行しないうちに白内障手術を受けたほうが良いケースがあります。特にこれらの疾患がない場合でも、白内障の程度に合わせて、数か月ごとの眼科の検診を受けることをお勧めします。

緑内障

緑内障は眼圧によって視神経が障害を受ける疾患です。 しかし、分類が複雑で、非常に多様な病態を含んでいるため、ここで患者ひとり一人の状況を説明し、理解していただくのは難しいかもしれません。
日本眼科学会のホームページにも、詳細な解説がありますので、ご参照ください。

日本眼科学会HP

比較的多い緑内障について説明します。

1.原発開放隅角緑内障

正常の眼圧はおおよそ20 mmHg以下といわれています。これより高い眼圧が長期間継続すると、視神経を構成する網膜神経節細胞が死滅し、徐々に減少していきます。このスピードは、一般的には眼圧が高いほど速いのですが、個人差もあります。眼圧が20 mmHg以下でも網膜神経節細胞の減少が進む状態を正常眼圧緑内障と呼びます。(正常眼圧緑内障については、別項にてさらに説明します。)

視野の障害は網膜神経節細胞がかなりたくさん死滅して初めて起こります。網膜神経節細胞はもともとかなり予備能力があるだけの数があり、半分以下に減少しなければ視野に影響は及ばないと考えられています。網膜神経節細胞の減少を検出するために眼底三次元画像解析(OCT)を行います。
原発開放隅角緑内障の治療では、眼圧を下げて視野障害の進行を防ぎます。
眼圧を下げるための方法は、

1.点眼薬
2.内服薬
3.手術

などがあります。治療はまず点眼薬で開始します。点眼薬には大きく分けて4種類くらいの点眼薬があり、それぞれ効果や副作用があります。これらを状況に合わせて組み合わせて使用します。点眼液の効果を判定するには、眼圧測定を行いますが、眼圧は点眼してからの時間や1日の中でも変化しますし、また、季節によっても変動します。点眼薬で十分な眼圧下降が得られない場合には、内服薬や手術を行います。内服薬は,炭酸脱水素酵素阻害剤(ダイアモックス、アセタゾラミド)という薬です。優れた眼圧下降作用を示しますが、血液中のカリウムを低下させ、電解質のバランスを崩したり、腎臓障害、肝臓障害などを起こすことがあります。また、手足のしびれや神経症状を起こすことがあります。そのため、長期間にわたって炭酸脱水素酵素阻害剤を内服する場合は、手術治療を検討します。手術治療は眼内の房水を眼外に流出しやすくするために行います。眼圧を下げるわけですが、それによって視野障害の進行を予防するのが目的です。すでに視神経が障害を受けて失われた視野を回復するための手術は、現在のところまだありません。視野を回復できる方法が開発されるには、まだ相当な年月がかかるのではないかと思われます。

2.正常眼圧緑内障

正常眼圧緑内障は上記の原発開放隅角緑内障の中に分類されることもあります。正常眼圧緑内障は、眼圧が20mmHg以下と正常であるにもかかわらず、眼圧が高い時に起こるのと同じような視神経障害が起こります。その原因はよくわかっていませんが、日本人には多いこと、血圧が高すぎたり低すぎたりすることが関係すること、などがわかっています。広島大学、長崎大学と放射線影響研究所の研究で、原爆被爆者ではより正常眼圧緑内障が増加するというデータがでています。正常眼圧緑内障の場合、治療前の眼圧よりもさらに低い眼圧にすると、視野障害の進行が抑制されることが確認されています。そのため、眼圧下降を目的とした治療を行う点は原発開放隅角緑内障と同じです。一般に、正常眼圧緑内障の視野障害は緩徐に進行するものが多いですが、一部に眼圧を十分下げても視野障害が進行するケースもあり、様々な増悪因子の解明と対応策の開発が求められています。

3.原発閉塞隅角緑内障

原発閉塞隅角緑内障は角膜と虹彩が作る隅角が狭いために眼圧上昇が起こる病態です。隅角は遠視の強い人や水晶体が厚い人などで狭くなりやすいです。急に眼に中の房水が外に流れなくなり眼圧が上がる「急性閉塞隅角緑内障」と慢性的に眼圧が高くなる「慢性閉塞隅角緑内障」の2つがあります。このタイプの緑内障の方は、瞳孔を散瞳させる効果のある薬物(かぜ薬、睡眠導入剤、胃カメラなどの検査で使用する各種薬剤等)で眼圧が上昇する可能性がありますので、注意が必要です。白内障がある場合は、白内障手術を行うことで隅角を広げる効果があります。そのため、閉塞隅角緑内障の治療には白内障手術が第一選択となります。白内障がないケースでは、点眼治療やレーザー治療などで眼圧降下を図りますが、不十分な時には手術治療を行います。

4.その他の緑内障

このほかにもいろいろなことが原因で緑内障は起こります。糖尿病網膜症に伴う血管新生緑内障、ステロイド剤の内服や点眼などの副作用として起こるステロイド緑内障、ぶどう膜炎を伴う緑内障など様々な緑内障があり、それぞれの状況に合った緑内障治療が必要です。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性は、網膜の中で中心となって物を見る部分(黄斑部)に障害が起こり、物が歪んで見えたり、視力が低下したりする疾患です。
大きく2つに分かれます。

加齢黄斑変性の種類

  1. 萎縮性加齢黄斑変性 徐々に黄斑部が変性し、視力が低下します。急激に視力が低下することはありません。
  2. 滲出性加齢黄斑変性 網膜のすぐ下に新しい血管(新生血管)ができてきます。新生血管から水や血液が漏れ出し網膜が腫れた状態(網膜浮腫)になると光を感じる機能が低下します。さらに、この状態が長期にわたると網膜細胞が不可逆的な障害を受けて視力回復が困難となります。

加齢黄斑変性の治療

萎縮性加齢黄斑変性には現在のところ明らかに有効な治療法は知られていません。一方、滲出性加齢黄斑変性はいくつかの治療方法が知られています。
当院でも、血管内皮増殖因子(VEGF)という物質の作用を抑える薬剤(分子標的薬)を眼球内に注射する治療を行っています。加齢黄斑変性については以下のページでも情報が確認できます。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は長期間網膜の毛細血管が高血糖にさらされることによって起きる網膜の循環障害です。これまでのデータから、およそ3年以上高血糖がつづくと網膜症が発生する可能性があると考えられています。

網膜症のステージと治療

A 単純糖尿病網膜症(Simple diabetic retinopathy, SDR) 網膜に毛細血管瘤、出血、白斑などを生じます。この時期は、特に治療は行わず、経過観察を行います。ただし、黄斑症を合併する場合は治療が必要です。

B 増殖糖尿病網膜症(Proliferative daiabetic retinopathy, PDR)網膜の血管が閉塞し、新生血管(破れやすい異常な血管)を生じます。新生血管は、硝子体出血や網膜剥離の原因になります。この時期には、網膜光凝固や硝子体注射、硝子体手術などが必要となります。

M 糖尿病黄斑症(Diabetic maculopathy)網膜の中で黄斑部というものを見る中心に病変が生じると、視力障害の原因となります。治療として、網膜光凝固、硝子体注射、テノン嚢下注射などを行います。

当院では、網膜症の病期を判断するための蛍光眼底造影、治療としては網膜光凝固、硝子体注射、テノン嚢下注射などを行います。
硝子体手術を必要とされる患者様は、対応可能な近隣の医療施設に紹介させていただきます。

糖尿病網膜症の進展には、全身状態の変化が密接に関連します。 急激に血糖値が正常化されたとき、腎症、高血圧などが悪化した時などは、網膜症が急激に進行しやすい時で、より細かな注意が必要です。 院長の桂は、糖尿病診療で有名なJA広島総合病院、糖尿病腎症で血液透析患者を多数治療している土谷総合病院などで、長年の糖尿病網膜症患者さんの治療経験を有しております。患者様毎に最良の治療を受けていただけるよう、努めてまいります。

網膜血管閉塞症など

網膜には動脈、静脈、などの血管があります。これらが様々な原因で閉塞すると、循環が悪くなり、網膜に酸素や栄養が供給されなくなり、視力低下の原因となります。急に見えにくくなった場合、早期に循環障害を取り除くことができれば、視力を回復することが可能ですが、長期に循環障害が続けば視力障害の原因となります。循環障害の影響が網膜の中心(黄斑部)に及ぶと、視力低下が顕著となります。

1. 網膜中心静脈閉塞症

2. 網膜静脈分枝閉塞症

【網膜静脈分枝閉塞症】
黄斑部(矢印)にも網膜の腫れがあるため、視力が低下しています
硝子体注射や網膜光凝固などで治療します

3. 網膜動脈閉塞症 動脈閉塞症は静脈閉塞症と比較して症状が急激に現れ、症状も強いことが多いです。

【網膜動脈分枝閉塞症】
白くなっている部分の網膜は血流が無くなっています
こうなると、この部分の網膜の機能は回復困難です

甲状腺眼症

甲状腺眼症は、甲状腺の疾患(バセドウ病、橋本病、その他)と関連して発症する眼の炎症性疾患です。

主な症状としては、
1.まぶたの症状
瞼の腫れ、まぶたが開く、閉じにくくなるなど
2.眼筋(目を動かす筋肉)の症状
目が動かしにくい、ものが2重に見えるなど
3.眼窩組織の炎症
眼球突出など
などがあります。これらの症状は、活動期と非活動期によって、治療方法が異なります。活動期には、主に炎症を抑える治療を行います。
一方,非活動期には活動期に生じた不具合を治していきます。

院長の桂は、日本で最も多くの甲状腺眼症患者の治療実績があるオリンピア眼科病院 で10年以上の診療経験を積んでまいりました。
当院では、この経験をもとに、甲状腺眼症に対するステロイド局所注射治療などを行っています。

ドライアイ・疲れ目

ドライアイは様々な不快な症状をおこします。たとえば、

  • 目が疲れる
  • 目が乾く
  • 涙が出て困る
  • 目がごろごろする
  • 文字がかすんで見えにくくなる
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 目の奥が痛い  などです。

原因は、スマホやゲーム、老化、全身の病気、とさまざまです。
自分の状態に合わせた対策をして、不快な症状とお別れしましょう。

日本眼科医会から「ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―
LIME研究会「ドライアイの原因となるマイボーム腺機能不全の情報」があります。

オルソケラトロジーによる近視治療

オルソケラトロジーについて

近視を矯正するための方法として、メガネやコンタクトレンズが多く使われています。しかし、これらを使いたくない、あるいは、使えない方のために、オルソケラトロジーは有効です。

夜間に治療用のコンタクトレンズを装用して眠ることで、昼間は裸眼で良好な視力を得られるという新しい治療方法です。しかも、近視の進行を抑制する効果があり、最近急速に利用者が増えています。

取り扱いは一般のハードコンタクトレンズとほぼ同じです。違いは、夜寝るときに装用することと、視力が安定するまでに約1週間(個人差あり)が必要だということです。
可逆性がありますので治療を止めれば近視は元に戻ります。

健康保険は効かないので、自費診療となります

≪オルソケラトロジーはどんな人に向いている?≫

  • メガネやコンタクトレンズなしで生活したい人
  • 裸眼で生活したいけど外科的手術には抵抗がある
  • -1.0D~-4.0D程度の中等度までの近視
  • -1.5D以下の乱視
  • 近視が進行する傾向のある方の近視進行予防効果が注目されています。以前は小児への安全性が問題視されていましたが、データが蓄積し、正しく使用すれば問題なく、近視進行予防のメリットの方が大きいと現在では考えられるようになりました。

≪オルソケラトロジーに向かないケース≫

  • -4.0D以上の近視だと、完全に矯正できない(近視の軽減は可能)。
  • ドライアイその他角膜などの目の病気があるケース
  • コンタクトレンズ装用の異物感や効果が出て安定するまでに数日~数週間かかりますが、それが困る方。
  • 十分な睡眠時間が必要です。寝ている間に矯正をするのでおおむね 6 時間以上の睡眠時間が必要です。 睡眠時間が短いと矯正する力が弱まります。
  • 治療の契約は施設ごとに行います。通院できない場所に転勤、転居される方は一旦レンズを返却していただかなければなりません。

オルソケラトロジー 治療開始までの流れ

当院ではオルソケラトロジー効果および内容にご納得いただいてから治療を開始いたします。そのため、問診といくつかの適応検査をした後、オルソケラトロジーが可能かどうか判断し、 1 か月間の使用体験をして頂きます。 体験後、オルソケラトロジーの有効性を判断し、治療を開始するかご判断いただきます。

  • 初回適応検査から 1 か月後の検査までの診察費は 3,300円(税込)です。
    ※体験時のレンズお渡し時に紛失保証金をいただきます。1か月以内に治療中止、返却の際はお返しいたします。(44,000円/2枚, 22,000円/1枚)(税込)
  • 本治療開始時に、両眼110,000円、片眼88,000円の治療費をいただきます。

初回適応検査

  • オルソケラトロジー治療が出来るかどうかを判断する大切な検査と説明をします。
  • 気になることは何でも、医師・スタッフに聞いてください。
    レンズ装用 →レンズ着脱練習 →無料体験(約1時間) →自分用レンズオーダー
    (このときに、初回から1か月後までの診察費の3,300円をお支払いください。)

装用翌日検査
(体験開始)

  • 数日後に自分用レンズが届いたら、一晩装用していただき、翌日(朝)角膜の形が変わっているかどうか確認します。
    寝る姿勢や時間によって角膜の変化に影響がありますのでご注意ください。
    (このときに、破損保障用の両眼4.4万円または片眼2.2万円をお預かりします。)

1週間後検査
(継続の判断)

  • 見え方等 効果の確認をし、オルソケラトロジーを始めるかどうか、決めます。
    次回来院日を決めます。

1か月後検査

  • 再度検査をします。(レンズ度数の最終確認です)
    問題なければ、開始となります。 次回の来院日を決めます。
    (このときに、治療費をご請求いたします。治療を開始される場合は、破損保障用のお預かり金を差し引いた金額(両眼11万円、片眼8.8万円)をお支払いいただくことになります。
    中止される場合はレンズの返却と破損保証金の返却を行います。)

定期検査

  • 1か月後 → 問題なければ →3か月毎 (年4回)
    (2年目以降は平均で2年に1度くらいはレンズの更新が必要。レンズ代1枚3万円。診察は1回3,300円。ほかに、洗浄液等の代金が必要です。)

オルソケラトロジー 治療をやめたらどうなる?

もし、生活環境の変化から睡眠時間が十分とれなくなれば、やめざるを得なくなる場合もあります。

アレルギー性結膜炎をはじめとするコンタクトレンズ装用が困難な目の病気にかかったときも、中断せざるを得なくなることがあります。途中で中断すると、近視は元に戻ります。

このほか、転居などで当院での管理が行えなくなる場合、一旦レンズを返却していただく必要が生じますので、ご了承ください。

眼瞼痙攣とボトックス治療

眼瞼痙攣とは、目の周りの筋肉が収縮し、目がつむってしまう疾患です。次のような症状がある方は、眼瞼けいれんの可能性があります。

  • まばたきが多い
  • 外に出ると、または屋外でもまぶしい
  • 目を開けていられない(つぶっていたい)
  • 目が乾く、しょぼしょぼする、痛い、などいつも目のことが気になる
  • 人ごみで人や物にぶつかる、またはぶつかりそうになる
  • 電柱や立木、停車中の車などにぶつかったことがある
  • 太陽や風、階段の昇降が苦手で外出を控えるほどである
  • 危険を感じるので車や自転車の運転をしなくなった
  • 手を使って目を開けなければならない時がある
  • 片眼をつむってしまう
    (眼科疾患のボツリヌス治療、診断と治療社、2009:15-32より改変)

当院では、このような症状が持続してでお困りの方にボツリヌス毒素(ボトックス)を用いた治療を行っております。治療を行う際には、検査で適応があると判断した場合に、後日予約して来院していただいております。

子供と視力

1.年齢と子供の視力

子供の目は体と同じように成長に伴い変化します。

①.0歳から3歳まで
子供の視力は生まれてから少しずつ発達していきます。視力検査ができるようになるのは、3歳くらいからですが、それまでに次のようなことに気づかれたときは、眼科に受診しましょう。
・視線が合いにくい ・斜視がある ・片方の黒目が大きい ・瞳孔が白く光る など

②. 3歳から6歳まで
3歳児健診で視力検査を行います。異常があれば、必ず眼科受診をしましょう。この時に遠視、不同視(片眼だけ遠視や乱視があるなど)、斜視などが見つかれば、早期に適切な治療をすることで弱視を防ぐことができます。弱視とは、網膜にきちんと物の像が映らないために脳が視覚を処理する機能が発達しないために起こります。視神経と脳の機能が発達するのは8歳くらいまでです。

③. 学童期
学校の視力検査で視力低下を指摘されたときには、どのような原因で視力低下が起こっているのか調べるために、眼科に受診して検査を受けましょう。子供の視力低下の原因で最も多いのは、屈折異常(近視、遠視、乱視など)ですが、一部に弱視や緑内障など、放置すると視力低下や失明につながる疾患も含まれています。

視力低下は徐々に低下すると本人も気がつかないことがよくあります。お子さんが「見える」と言っても、実際に測定してみると視力が下がっていることはよくあります。
子供の時期は、体も知能も発達する時期です。この時期に、ものがよく見えることは、子供が成長の過程で得るさまざまな情報を増やしてくれます。いろいろな病気によって、視力が出ない場合でも、なるべくよく見える環境を作りましょう。

2.屈折異常の種類

【正視】 正視は遠くの物の像が網膜にピントが合う状態です。

【近視】 近視は遠くの物の像が網膜よりも前にピントが合う(網膜には合わない)状態です。近くのものは網膜にピントがあってはっきり見えます。

【遠視】 遠視は遠くの物の像が網膜よりも後ろにピントが合う(網膜には合わない)状態です。近くのものはよりピントが合いにくくなります。

【乱視】乱視とは球面レンズで矯正が出来ない場合です。多くの場合、図のようにたて横の角膜のカーブが異なることが原因です。

【弱視】弱視とは幼少時期に脳が視覚刺激によって発達するのが障害され、視力が十分発達しないことをさします。弱視の原因としては、幼少時期の眼帯(視覚遮断性弱視)や、遠視(遠視弱視)、左右の度数の差(不同視弱視)、斜視(斜視弱視)などがあります。

3.屈折異常の治療

屈折異常の治療の目的としては、

  1. その時点でのよい視力を得るため(黒板がよく見えるようにする、スポーツがしやすくする、など)
  2. 進行予防とほかの病気にかかるリスクを下げる
  3. 弱視の治療(7-8歳までで弱視がある場合におこなう)などがあります。

【近視】 めがね、コンタクトレンズなどでよく見えるようにします。近視は進行すると、成人してから緑内障や近視性黄斑症などの失明につながる病気のリスクを高めるといわれています。そのため、進行予防対策は重要です。

※こちらをクリックすると拡大して見ることができます。

  1. 低濃度アトロピン点眼 今世界で注目されている近視進行予防薬です。当院でも処方しています。
  2. オルソケラトロジーによる近視治療は当院でも受けられます。

【遠視】 近視の場合は視力が悪くても近くは見えるが、遠視で視力が悪い場合は、近くも見えにくいので、学習に支障が生じやすい。このことも考えて、めがねやコンタクトレンズで矯正を行います。とくに、7-8歳以下で矯正視力が不良の場合は弱視となる危険性があるので、めがねによる矯正が必須です。

PAGE TOP